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sleep apnea syndrome (SAS)
執筆者: 横山美貴
睡眠時無呼吸は成人では夜間睡眠時の10秒以上の換気(気流)停止をさし,そのくり返しにより睡眠の分断や日中の傾眠などのさまざまな症状を呈する.低酸素状態(酸素飽和度低下)が強いと心臓に負担(肺性心)となる場合がある.小児ではより短い無呼吸でも低酸素状態に陥る.
発症機序により,閉塞性・中枢性・両者の混在する混合性に分けられる.小児では大部分が(気道)閉塞性である.(気道とは肺までの空気の通り道を指し,口鼻腔・咽頭・喉頭・喉頭・気管・気管支となる.喉頭までを上気道,以降を下気道という.)
閉塞性は,アデノイド増殖症+口蓋扁桃肥大によるものであるが,小顎症などの顔面先天異常や,脳性麻痺などの神経筋疾患に伴う咽頭部狭窄(舌根沈下)による場合もある.(扁桃とは咽頭に輪状に存在するリンパ組織の総称で,咽頭上部のものを咽頭扁桃=アデノイド,咽頭両側のものを口蓋扁桃という.)ただ,咽頭の物理的狭窄のみで生ずるのではなく,睡眠中の上気道虚脱防止機構の異常が関与している.
中枢性には原発性肺胞低換気症候群(オンディーヌの呪い)や肥満低換気症候群があり,呼吸中枢における高炭酸ガス血症に対する換気応答障害が示唆されている.また,脳幹部病変,脳炎,頸椎損傷などに伴う場合もある.
小児では訴えは少ないが,寝覚めの悪さや日中の眠気などが上げられる.
いびき,呼吸音の途絶(胸郭運動はある),寝相の悪さ,睡眠時の発汗多量,夜尿,多動・集中力低下,日中の傾眠など.
終夜ポリグラフ検査:
経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2),口鼻腔の気流,胸郭運動,いびき音,体位などを終夜測定し,睡眠1時間中の無呼吸とSpO2の低下の回数(Apnea/Hypoxia index:AHI)を算出する.小児の場合は入院して行う.ただし,計測が煩雑なため小児では睡眠時SpO2の低下(ベースラインより4%以上の低下,92%以下の持続,トレンドグラフ上の低下パターンなど)と呼吸状態の観察などから判断する場合が多い.午眠中のポリグラフ検査で代用できるとの報告もある.
成人ではAHI 20以上が治療の指標となるが,小児ではAHIが1でも正常とは言えない.(正常小児のAHIは1未満との報告がある.また,小児では10秒未満でも2呼吸以上にわたるイベントは異常とされる.)このため,ポリグラフ検査時に呼気終末炭酸ガス濃度(EtCO2)も測定し指標とすることが提言されている.(EtCO2の最高値が53mmHg以上,または,50mmHgが総睡眠時間の8%以上の場合.)
1) アデノイド・(口蓋)扁桃摘除術:adenotonsillectomy
アメリカ小児科学会のガイドラインでは第一に上げられている.ただし,扁桃肥大は4~7歳をピークに以後自然に退縮することや,扁桃は免疫臓器であることから,手術適応は慎重に決められる必要がある.扁桃肥大の原因には上気道炎の反復も上げられ,まず保存的治療が行われることが多い.術式としては,アデノイド単独摘除より扁桃摘除を併用した方が術後成績が良い.まだ十分な調査はされていないが,術後短期間では90%程度で著名な改善をみる.長期的には再発例や再手術例も認められる.小顎などの患児で術前AHIが10以上の場合には,周術期(麻酔の導入や手術直後)の気道閉塞のリスクが高く,また,程度は患児毎に異なるが術後も症状が残存する場合もある.
2) 持続陽性気道内圧:
continuous positive airway pressure(CPAP), bilevel positive airway pressure(BiPAP)
鼻に専用のマスクを着けて気流を通し,持続的に気道内圧を弱陽性に保ち,気道の虚脱を防ぐ.成人では有効性が示され機器も数種類市販されているが,小児ではマスク装着や装着時間など患児の協力がどれだけ得られるかが問題となる.BiPAPは吸気に同期して吸気を圧サポートする機能が加わる.
3) 薬物療法:
慢性的な炎症が症状を増悪させるため,消炎目的に抗生剤(マクロライド系),消炎剤,去痰剤などを投与する.
4) 減量:過度の肥満を認める場合には指導する.
5) 睡眠時体位:
寝返りがうてない場合,右側臥位または腹臥位を増やす.ただし,腹臥位の際は十分な監視やモニター装着が必要である.
6) その他
鼻咽頭チューブ:
経鼻的に喉頭上部までチューブを通し気道を確保する.小顎症,巨舌,舌根沈下例などさまざまな例に有効.
酸素投与:
原疾患の合併があるなど上記治療不応例に限られる.低換気症例では投与後の高炭酸ガス血症となる危険があり,注意を要する.
気管切開:
各種療法が無効の場合のみ行う.
基礎疾患がある場合はその治療を第1に行う.
人工呼吸管理:
気管切開を置き,人工呼吸器を装着する.適応は個々の症例で合併症の有無などを考慮して決める.在宅でも可能である.年長児では,BiPAPを初めに試してもよい.
閉塞性無呼吸では,自然寛解の要素もあり予後は良好である.先天異常や原疾患を有するものでは治療に抵抗する場合が多い.
中枢性無呼吸では,人工呼吸管理が適切に行われれば身体予後は良い.
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を無拘束に検査できる医療機器(スリープレコーダSD-101,スズケン)が発売された.従来の測定方法とは異なり,身体にセンサを装着することなく,感圧センサが多点配置されたシートを敷いて眠るだけで,SASのスクリーニング的検査が可能となる.
1) Clical Practice Guideline: Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome. Section on Pediatric pulmonology and Subcommittee on Obstructive sleep apnea syndrome. Pediatrics 2002; 109: 704.
2) Trager,N, Schultz,B, Pollock,AN, et al. Polysomnographic values in children 2-9 years old: additional data and review of the literature. Pediatr Pulmonol 2005; 40: 22.
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